「現実の世界の太陽というものがあり、これはあらゆる熱の源となっている。目の見える者はみなこの太陽を見ることができ、目の見えない者はその熱を感じることができる。そして永遠の太陽というものがあり、これはあらゆる知恵の源となっている。精神の感覚が目覚めている者はこの太陽を見ることができ、太陽の存在を自覚するだろう。そして、精神が完全に目覚めきっていない者もやはり、太陽の力をある内なる能力によって見抜くのだ。この能力を直観という」この文はパラケルススの引用ですが、ここから伺える内容は、すでに多くの文化において知られていたことです。太陽は空における位置のためだけでなく、その生命力・スピリチュアルな力によっても、万物の中心とされてきたのです。

ケルト人は、太陽の重要性を認識していた文化のひとつとされています。ケルト人は太陽にまつわる多くの神々を持ち、太陽の周期における特別なタイミングを記念する祝祭がありました。ベルテーン祝祭(ベルテーンとは「輝く火」を意味し、太陽に関係しています)では今日においても、夏がまた巡ってきたことを祝っています。時として甘い香りのネズの木をたずさえた大きな焚き火は、浄化と再生を実現するための存在でした。ベルテーン祭は「輝かしい者(または輝ける神)」と呼ばれるべレヌス神と関係があると言われています。べレヌスはケルトの神々の中でもっとも古く、もっとも崇拝されてきた神の一つでした。べレヌスは馬と深い関係があるとされ、馬の曳く荒々しい戦車(太陽神の象徴)で空を駆け巡っていました。ちなみに、べレヌスはイタリアの街アクイレイアの守護神でもあります。

もう一人、よく知られたケルトの太陽神にルー神がいます。その名は「輝ける者」「閃光」を意味しており、キリスト教以前の宗教の祭「ルグナサート(「8月」を表すアイルランドのゲール語の由来でもあります)」の起源にもなりました。ルーはルグドゥノム(現在のフランスのリヨン)の守護神でした。また、多才や産業と深い関係があるとされ、その技能の中には芸術、工芸、商業、歴史、治療、戦争、鍛冶が含まれていました。ルーがシンボルとしていたのはカラスや、特にウェールズにおいては白い牡鹿でした。ルーは王や軍の指導者として表現されていましたが、世界に光をもたらす強大な神としての側面もありました。

太陽は女性の姿で描かれることも多くあります。アイルランドのゲール文化においては、グリアン女神の名が太陽を表す単語でした。グリアンについての神話は残っていませんが、彼女の名はグラニー湖やトゥアムグラニーといった地名に見ることができます。グリアンは冬の太陽であり、その姉妹あるいは別人格として、夏の太陽であるアイン女神がいます。アインは農作物や動物を支配する富の女神であり、また赤い馬を象徴とすることがあります。

ケルト神話において、太陽と関係があるとみなされる別の女神がエーディンです。エーディンはのちに月の女神になりましたが、もともとは太陽の女神でした。エーディンは有名なケルト神話「エーディンの求婚」のヒロインです。エーディンは自分の愛する者、そして自分自身を貫き、生まれ変わって不死の存在となりました。エーディンに奉げられた要素は太陽、暁、海、雨、水、蝶、りんごの花、そして白鳥です。エーディンは癒し、再生、魂の転生の女神です。

また、「三女神」のブリジッドは春分、光、火を支配しています。ブリジッドは太陽の属性を持つことで知られていますが、これは火と光の女神である彼女の役割と合致しています。ブリジッドには多くの別名がありますが、いずれの姿も「霊感の火」「暖炉の火」「鍛冶の火」の三要素を備えた女神なのです。

太陽は地上のあらゆる生命の源であり、この命の起源としての様々な要素は、前述のケルトの神々全てが「意志」「知恵」「生命の再生」「癒しの力」として体現する中に見ることができるのです。


原文URL↓
https://library.acropolis.org/the-sun-in-celtic-mythology/

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