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日々の哲学-ボランティアをする意味

佐藤千洋

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「ボランティア」と聞くと、皆さんはどんなことを連想しますか?
災害時に現地で土砂除去作業をする人たち、森や海を守る活動や、最近ではこどもたちに無償、低価格で食事を提供するこども食堂での活動なども思い浮かびます。
あるいは、ボランティア活動や活動する人たちに対して、偽善的、自己満足だと否定的に見る人たちも少なからずいるかもしれません。一般的には、無報酬で社会的活動に参加する人、というイメージがありますが、Volunteerという言葉の語源をたどると、少し異なった視点が見えてきます。

Volunteer(英)の語源は、ラテン語の"voluntas"や"Voluntarius"と言われており、その意味は、「自由意志・自ら進んでやること」。無償で働く、ということの前に、参加する本人が進んで行うという意味があったんですね。

私たちは、仕事に携わったり、家庭でも様々な家事をこなしながら毎日を暮らしているわけですが、そのうちのどのくらい、「自ら進んで」行動しているでしょうか。無意識に、ただ言われたことを言われたままこなしている、という方も少なくないかもしれませんが、ボランティア活動を、「自分から進んで行うこと」ととらえ直すと、日々ただこなしていた作業が別の視点で見えてくるかもしれません。

仏教にも同様の言葉がありました。「発心/ほっしん(発菩提心)」です。物事を始めようと自分の内から思い立つことを表します。

この「自ら進んで行う」ということは、強力な推進力があります。自分で決めて行うわけですから、何か困難があっても、もし周囲の理解が得られなかったとしても、自分はこうするんだと決めているので、その方向に向かって進むことが出来るのです。しかし、自分の意志で動く、ということに慣れていないと、失敗したらどうしようとか、まわりの目が気になる等、怖れも出てくるかもしれません。

実は、ボランティアの現場が、その「自ら進んで行う」ことを安全に練習できる場でもあるのです。ボランティア活動の場所には、たいていその道のベテランの方や先輩がていねいに説明をしてくれ、もし失敗したとしてもみんなでフォローしてくれます。そして失敗を安全に繰り返すことで、経験値が増え、職場や家庭でもそのノウハウをどんどん応用して、人生が豊かになっていくのです。

そんな経験を、「無償でさせてもらえる」ボランティアって、素晴らしいと思いませんか?

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